先日投稿した「ドル円の当面の流れについて(2022年4月11日)」でレジスタンスライン突破がシナリオの起点となると書きました。
長期的なレジスタンスラインでしたので、もう少しもみ合うかと思っておりましたが、あっという間にレジスタンスラインが突破されました。
これを機にレジスタンスラインが突破された意味を理解しておく必要があります。
今後の展開について新しいシナリオを用意する必要があるのですが、シナリオについては別途考えるとしまして、一度サポートレジスタンスの役割についておさらいしておこうと思います。
サポートレジスタンスとは
基礎知識の復習です。
- サポートラインは支持線とも言われ、チャートを下支えしているように見えるライン。
落ち込んだところを盛り返すのが仕事。 - レジスタンスラインは抵抗線とも言われ、チャートの頭を押さえているように見えるライン。
出る杭をたたくのが仕事。

相場はサポートラインとレジスタンスラインの間を推移することが多く、これらのラインを抜けた場合は新しい波が発生しやすくなります。
分かりやすく例えると、サポートレジスタンスは相場の壁です。
特定の勢力により強制的に壁が作られていると考えて問題ないかと思います。
サポートレジスタンスが重要視される理由
このラインがどういう理由で機能して、なぜ重要視されているのかを明確にしておきましょう。
基本的にこれらのラインが突破されにくい理由は、そのラインを突破してほしくない勢力がそのラインを抜けないように抵抗反発が行われているからです。
ドル円75円のサポートラインが教科書レベルで分かりやすいラインとなっていますので、これを例にしてみましょう。
2011年10月31日ドル円は75円前半に位置しておりましたが、日本政府による為替介入が行われました。
理由は賛否両論ありますが、日本は輸出大国でありますので、円安のほうが企業にとって有利になることが多い国だと言われておりますし、円高だと海外からの観光客も減ってしまいます。
日本政府がそれ以上の円高を強引に抑制した形になっています。
ドル円の75円は日本政府が介入したラインとして世界に認識されました。
これにより、相場がこの先75円に近付いた場合は、再度日本政府の介入があると考えられますので、警戒されるラインとなる訳です。
他にはオプションバリアの攻防戦など、そのレートに到達してほしくない勢力が抵抗するときに猛反発することがあります。
よって、ドル円が75円付近まで下落してきた場合、猛反発が予想されますので、75円付近に大量の買注文が集まるでしょう。
サポートレジスタンスは絶対ではない
相場に「絶対」という概念は通用しません。
ドル円の75円に日本政府が支えるサポートラインがあるとしても、次も同じように死守できる保証はありません。
ひょっとすると、次回はそのサポートラインが機能しない可能性だってあります。
相場に引かれたサポートレジスタンスも永久に有効であるはずもなく、いつかは必ずブレイクします。
サポートレジスタンスは、あくまでも反発する可能性が高いというだけのラインなのです。
サポートレジスタンスがブレイクした時のエネルギー

大きい壁、信頼されている壁は相当なエネルギーが溜まっています。
相場というのは、天秤のようなものでして、そのバランスが崩れた時に大きく片方に動き出します。
例えば、ドル円の75円には鉄壁のサポートラインがありますので、指値も含めた大量の買い注文が集まりやすいです。
そして、それらの注文には万が一のブレイクに備えて保険でストップを設定しています。
その状況で売り50%と買い50%がバランスを保って均衡を保っているところ、瞬間的に売りの圧力が高まると、円高に進みますので、保険でかけているストップ注文(買いの決済は売り)が執行されていき、ストップがストップを呼び大量の売り注文が殺到する状態となります。
ブレイクした瞬間に大きく動くメカニズムはこうなっています。
要するにサポートレジスタンスは使えるのか?
相場には大小含めて様々なサポートレジスタンスラインがあります。
今反発した箇所が大きい時間軸で見た時にどういう状態であったのかは常に確認する必要があります。
また、前回反発した箇所だから様子を伺ったりと、攻める場合も守る場合も戦略の要となることが多いです。
しかし、サポートレジスタンスが死守され続けるわけでもありませんし、ブレイクする可能性だって高いわけです。
おそらくここで反発するだろうし、抜けると一気に動き出すだろうなと考えるべきラインでしかないということです。
サポートレジスタンスは無視することはできませんが、意識しすぎると身動きが取れなくなります。
大きい時間軸でどのような役割をしたラインなのかを考えて、その信憑度を都度考えながらチャートにラインを引きながら付き合っていくのが無難ではないでしょうか。
自分なりに分析するテクニカルツールとしては比較的難易度は低いほうだと思いますので、初心者でも扱うことが可能です。
自分の分析をトレードの根拠として、自分の背中を押してくれる優良なツールだと私は思っています。