できるだけ逆行リスクを抑えてトレンドに乗る方法、それは押し目と戻り売りを丁寧に拾うことです。
逆行しにくいポイントで大きく値幅を狙うためには必須のテクニックです。
いくつかのケースを踏まえて、押し目買い・戻り売りのやり方を説明します。
トレンドの定義をおさらい
何をもってトレンドというのか?
トレードスタイルによっては見る時間軸が違いますので、人それぞれトレンドの解釈は異なりますが、一般的には日足以上のレベルで価格が一定期間にわたって特定の方向へ持続的に動く傾向のことをトレンドと定義しています。
数分単位のスキャルピングをするトレーダーなら1時間足が長期的なチャートになりますし、スイングトレーダーなら日足や月足が長期的なチャートになるわけです。
まず最初に、トレンドの認識を合わせておきましょう。
実際のトレンドを確認出来るチャート
このチャートは、ドル円1時間足チャートに日足のローソク足を表示させたもので、約2週間分くらい表示されています。左側の下降トレンドで約350PIPS、右側の上昇トレンドで約500PIPSの値幅がありました。
このように、一方方向に連続して動く波がトレンドだと考えてください。
ダウ理論に基づいたトレンドの定義
トレンドの概念として有名なのがダウ理論6つの法則です。
- 平均株価はすべての事象を織り込む
- 現在の価格は、経済指標や世界情勢などが考慮されているという考え方。
- トレンドには3種類ある
- 短期(数時間〜数週間)
- 中期(数週間〜数ヶ月)
- 長期(数ヶ月〜数年)
- 長期トレンドは3段階からなる
- 初期
- 中期
- 後期
- 平均は相互に確認されなければならない
- ドル円だとユーロドルやゴールドなど、相関関係にある商品も同じような影響が出ていること。
- トレンドは出来高でも確認されなければならない
- FXではあまり関係しない。
- トレンドは転換の明白なシグナルが出るまで継続する
この中で一番重要なのが、「⑥トレンドは転換の明白なシグナルが出るまで継続する」で、これはトレンドの定義に関わる大事なポイントになっています。この考え方を図にしたものが次の画像です。
上昇トレンドの定義としては、高値が切り上がっている状態を維持している間は上昇トレンドが継続していることです。下降トレンドはこの考え方の逆になります。
そして、直近安値が更新された時はトレンド転換のサインとなります。ダウ理論の「明白なシグナル」がこれになります。
トレンドの初動を捉えることは不可能
後で見直すと一つのトレンドとして認識できるのですが、トレンドを形成している最中では今がトレンド状態にあるということが分かりにくいです。
誰が見てもトレンドだと分かる状態になるのは、トレンドが半分くらい出来上がってからじゃないでしょうか?
少なくとも、初期段階でトレンドが始まったと認識できる人はいないはずです。その理由は次の画像にあるとおり、トレンドの明確な反転サインが出るまでトレンドが継続していると考えるからです。
つまり、ダウ理論③の「トレンドは3段階からなる」の初期は後になって見直さないと分からないと言うことですので、トレンドの初動を狙って大底でエントリーすることは不可能なのです。「頭と尻尾はくれてやれ」という相場格言にもありますように、頭なんて狙えないということです。
トレードする場所について
では、どこでトレードをすれば良いのか?についてですが、次の画像で考えてみましょう。
様子見ゾーンでトレード出来ればトレンドの初動に乗ることが可能ですが、この地合いで実際にトレードできるかを考えると、本当にトレンド転換しているのか怪しいですし、前回の下降トレンドが再開する可能性も捨てきれていない場面です。
トレンド転換したラインでエントリー出来たとしても、何度も建値をタッチされているのでハイレバでエントリーするにはしんどいトレードになることが想像できますので、この場所で無理にトレードをする必要はありません。
どうせトレードするなら、わかりやすいゾーンを狙った方が精神的負担が少なくなり、総合的に効率が良くなりますので、方向性が明確に分かってからでも良いと思います。
押し戻りの探し方
トレンドには必ず一時的な逆行現象が起こる場面があります。上昇トレンドではその逆行を押し目と言い、下がったところで買う事を押し目買いと言います。戻り売りはその逆の考え方です。
押し戻りでの新規エントリーは、安全にトレンドに乗るためのテクニックだと考えてください。
トレンドラインなどによって規則性が確認できる場合などは、その規則に沿ってトレンドが再開する可能性が高いため、逆行リスクを抑えてトレードすることが可能です。そのため、ハイレバ向きのテクニックだとも言えます。
ボックス相場では、水平線などでレンジの上下限を見ることができますが、トレンドでは次のような方法で確認するのが一般的です。
- トレンドライン
- 移動平均線
- フィボナッチリトレースメント
一つずつ説明します。
トレンドライン
トレンドラインは2点以上規則性が確認できるポイントをラインで繋ぎます。上昇トレンドの場合は価格の下に、下降トレンドの場合は価格の上にラインを引きます。
この際、髭同士を結んだりローソク実態で結んだりとやり方はあるのですが、相場なんて規則通りに動くものでもありませんので、規則性があるように見えるポイントに線を引く程度で問題ありません。
一つのトレンドでも角度が変わればラインも変わります。
二度あることは三度あると考えて、トレンドラインにタッチするまで待ち構えてください。
トレンドラインは規則性を視覚化することが目的ですので、多少の誤差は都合良く修正して問題ありません。問題があると感じてからラインの引き方を追求しても遅くはないでしょう。
基本的にどの時間足でも機能しますが、上位足のラインの方が精度が高くなります。
移動平均線
分析には長期の移動平均線を利用してください。私は200SMAと75SMAをよく使っています。
200SMA>75SMAの信頼度になりますが、トレンドが出ている状態では200SMAに価格が触れる機会が少ないので、75SMAを補助的に使っている感じです。
移動平均線がトレンドの方向に向いている事が条件で、価格が移動平均線まで落ちてくると移動平均線がサポートラインとして機能する可能性が高いため、押し戻りとして機能する事が多いです。
フィボナッチリトレースメント
フィボナッチリトレースメントはトレンドに対して戻りを図るツールです。
使い方は簡単で、一つのトレンドとして見える始点と終点にセットするだけで自動計算してくれます。
計算された38.2%か50%、61.8%で反転する可能性が高いので、そのポイントを押し戻りポイントとして利用します。当然抜けていく可能性もあるのであくまでも補助的なツールとしてご利用ください。
複合で押し戻りを見る
移動平均線、トレンドライン、リトレースメント。これらを複合的に使って最新の押し目を拾う場合は次のような感じになります。
75SMAにタッチするか、トレンドラインにタッチするか、下降速度によってリトレースメントのどれにタッチするのかは変わってきますが、赤丸で囲んでいる付近で反発する可能性が非常に高いと考えられます。
ですので、価格が赤丸部分に近い付いてきたら指し値をセットするか、それともラインが突き抜けてから戻ってくるまで待つか、様子を伺うべきポイントになるはずです。
注意点
どの方法でも押し戻りのポイントを探すことは可能ですが、これらはあくまでも予測地点です。
当然突き抜けていくこともありますし、だまし的な動きによって誤差も生じます。
これらの押し戻りポイントに指し値をセットする方法などもありますが、ストップロスの設定を必ず入れるようにして運用してください。